「窓の台風対策9選」100均アイテムでできる方法からプロの方法まで解説

【窓の専門家が解説】窓の台風対策“9選”|100均アイテムでできる方法からプロの方法まで


「台風のたびに窓が割れないか心配」「台風が来る前に対策できることを知っておきたい」という方のために、窓の専門家が台風の窓対策についてお話しします。

100円ショップで売っているものやダンボール・新聞紙を使った手軽な方法から、被害を最小限に抑えられる本格的な方法まで詳しく解説します。

多くの方からよくご質問いただく保険や補助金についてもお話ししますので、大きな台風が来ても安心して暮らせる我が家にしたい方はぜひ最後までご覧ください。

このコラムで分かること

●窓は台風の時に飛来物・風圧によるガラス破損や水漏れの被害を受ける可能性があります。

●窓の台風対策には、ご自身でできる応急処置的な方法からプロに依頼する本格的な方法まであります。

●“窓一番”は、1966年創業以来、埼玉県随一の「外窓・内窓・玄関ドア工事」の事例数を誇り、同グループ内には住宅リフォーム専門部署もありますので、総合的にあなたのお悩みを解決できます。



大型台風が増加中

日本で台風が増加・強大中


史上最大規模と言われる台風10号が上陸した記憶もまだ新しいでしょう。

実は近年、日本に接近する台風の数は徐々に増えており、大きさや強さは拡大しています。

年代台風の年間平均接近数
1981〜1990年11.2回
1991〜2000年11.6回
2001〜2010年11.3回
2011〜2023年11.9回
(参考:気象庁|台風の接近数

台風の数が増えている理由は地球温暖化による大気中の水蒸気量増加であるという報告もあり、今後より一層台風が強大化することが予想されています。(参考:気象庁|日本の気候変動2020 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—

そのため、住まいにおける台風への備えがより重要になると言っても過言ではありません。

過去には大型台風が襲来する前に窓の飛散防止のために養生テープを買う方が急増し、売り切れたり高額転売されたりしたニュースもあるほどです。

ポイント

台風の窓対策について考える際は、「どのような被害を受ける可能性があるのか」「被害を未然に防ぐ確実な方法はなにか」を知っておきましょう。

日本は毎年必ずと言っていいほど台風が上陸するため、窓の対策についても事前準備が欠かせません。



窓の台風による被害例

窓の台風による被害例


台風による窓の被害と言っても、原因や被災状況は様々です。

対策方法の前に、まずはよくある台風被害の例を紹介します。

飛来物によるガラス破損

最も被害が大きくなるのは、強風による飛散物が窓に当たってガラスが割れるケースです。

飛来物により窓ガラスだけではなく建物そのものが被災したり、割れたガラスの破片で怪我してしまう恐れがあります。

風圧によるガラス破損

ガラスは物が当たって割れる以外に圧力によって割れる恐れがあります。

強風による風圧でガラスが割れる可能性もゼロではないのです。

では、天気予報でよく聞く風速と風圧の関係を見てみましょう。

風圧(kgf/㎡)= 0.05× [風速(m/s)の2乗]

風速風圧
「やや強い風」
風速10m/s以上15m/s未満
5〜11.25kg/㎡程度
「強い風」
風速15m/s以上20m/s未満
11.25〜20kg/㎡程度
「非常に強い風」
風速20m/s以上30m/s未満
20〜45kg/㎡程度
「暴風」
風速が20m/s以上
20kg/㎡以上
「猛烈な風」
風速30m/s以上もしくは最大瞬間風速が50m/s以上
45kg/㎡以上もしくは125kg/㎡
※建物の立地環境などによって実際の風圧と異なる場合があります。
(参考:気象庁|天気予報等で用いる用語|風宮古島地方気象台

2024年8月に上陸した台風10号では、九州北部と四国で最大瞬間風速25mを観測しました。

風速25mということは窓ガラス1㎡につき約31kgもの負荷がかかるということです。

ガラスの許容風圧力は以下の通りです。

ガラス種別許容風圧力
単板ガラス
(厚さ3mm)
約160kgf/㎡
複層ペアガラス
(厚さ3mm+空気層+3mm)
約240kgf/㎡
防災防犯ガラス
(厚さ3mm+特注中間膜+3mm)
約344kgf/㎡

これだけ見ると「風圧でガラスが割れることはないのでは?」と思うでしょう。

しかし、最近の住宅は大きな窓が多く、ガラス面積が広くなるほど中央部は圧力に弱いため注意してください。

吹き付ける雨による水漏れ

台風による被害はガラスの破損だけに限りません。

気密性の低い窓サッシは、吹き付ける雨により室内まで大量の雨水が侵入する可能性があります。

また引き違い窓ではガラス戸とガラス戸が重なり合う隙間やゴムパッキンの劣化箇所、サッシ周りのコーキング劣化箇所から水が入るケースは珍しくありません。

最近よく見かける窓の上に庇や軒がない住宅は、台風の雨による影響をダイレクトに受けやすいため特に注意しましょう。

ガラス破損による二次被害

飛来物や風圧、強風によって窓ガラスが割れると、室内に破片が散乱するだけではなく、止めどなく雨水が室内に吹き込みます。

また、窓から強い風が室内へ入り込むと、天井を押し上げて構造自体を壊してしまうリスクも考えられます。

そこまでの被害でなくても、雨水が大量に室内へ染み込めば内装をやりかえなくてはならず、さらに壁の内部や床下の構造体にカビが発生したりシロアリ被害※を助長する可能性があるため注意してください。

※シロアリ被害:シロアリは水分を含み柔らかくなった木材を好んで食べる。


ポイント

地域によって台風被害の大きさは異なりますが、近年は比較的被害の少なかった関東エリアでも台風によって窓ガラスが割れたり雨水が侵入するケースが増えています。

そのため、これまでは特に何もしてこなかった地域にお住まいの方でも、今後に備えて対策方法を把握しておきましょう。



窓の台風対策“9選”

窓の台風対策


今後も来るであろう大型台風に備えて、窓の台風対策について知っておきましょう。

身近な材料で簡単にできる応急処置的な方法と、台風による影響を根本から軽減する方法があります。

それぞれメリットとデメリットがあるため、違いを紹介します。

窓の近くにあるものを移動させる

台風が近づいたらまずは窓周りにある風で飛びそうなものを移動させましょう。

近くに大きな枝ぶりの木が生えている場合は、事前に剪定しておくと安心です。

「ベランダで囲まれているから物が飛んでこないだろう(ベランダの中のものは飛ばないだろう)」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、腰壁で囲まれたベランダに風が入るとその中で渦巻いて噴き上がるような風になることもあるため注意してください。

窓の前に防風ネットを張る

ご自宅内で飛来する可能性のあるものを移動させても、近隣からものが飛んでくる可能性は否めません。

それらを防ぐために有効なのが防風ネットで、作物や工事現場の足場を覆い風や砂埃などの影響を抑えるために使われるのが一般的です。

細かいメッシュ状のシート材で、窓の前にタープのように固定すると小さい飛来物から窓ガラスを守れます。

ただし、しっかりと固定されていないとネット自体が風で飛んで近隣に被害をもたらす可能性がありますし、看板など大きく威力の強いものからの被害は防げません。

ガラスに飛散防止のテープを貼る

こちらはガラスの強度を高めたり飛散するのを未然に防ぐためではなく、割れたガラスの破片が飛び散るのを防止する方法です。

ガラスへ室内側からガムテープや養生テープを「米印」状に貼ります。

養生テープによる窓の台風対策


安価に対策できる点がメリットですが、窓ガラスにテープ跡が残る可能性があり、ガラスの破損は避けられません。

そのため、怪我などを防ぐためにテープを貼っても台風の影響を受けている間は、カーテンやブラインドは閉めたままにしましょう。

室内側から窓をダンボールでふさぐ

窓ガラスにガムテープや養生テープを貼っても大きなガラス片が落ちてくる可能性があります。

また、ガラスが割れた上で枝などの飛来物が室内に入る恐れもあるでしょう。

これらを防ぐ方法として最も手軽なのは、室内側から窓をダンボールでふさぐ方法です。

屋外からダンボールやベニヤを張る方法もありますが、しっかり固定されていないと飛散して近隣の迷惑になりかねません。

そのため、屋外で釘などを使ってしっかり固定できる環境でない限りは、室内から処置しましょう。

ガラスに飛散防止フィルムを張る

ガラスに飛散防止フィルムを貼ると割れた時に小さな破片も飛び散りません。

ただし、飛散防止フィルムにも色々な種類があり、台風対策として飛来物が窓ガラスを貫通するのを防ぐためには、分厚く性能が高いものを選びましょう。

大きな窓には厚さ50〜70ミクロン以上のものでJIS規格※の認証を受けているものがおすすめです。

※JIS規格:日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称で国家規格。認定を受けているかどうかで性能品質や安全性を客観的に判断できる。


窓周りの隙間に新聞紙を詰める

台風の雨が窓の隙間から入ってきた時の応急処置として有効なのは、隙間に新聞紙を詰める方法です。

新聞紙は普通の紙よりも吸水性が高いため、水漏れに効果的とされています。

新聞紙を細く捻り、それを水が侵入している場所へ当てると室内への流入をいくらか食い止められるので試してみましょう。

それ以外にも、掃き出しサッシの窓が重なり合っている部分に新聞紙を挟んでおくと、風で煽られて窓同士がぶつかり合うのを防げます。

窓シャッターや雨戸を付ける

飛来物による被害を防ぐ最も効果的なのは、窓の外に窓シャッターや雨戸をつける方法です。

飛来物による被害だけではなく風圧による破損も防止できます。

ただし、日頃から定期的に開閉しないと動かしづらくなるため注意しましょう。

また、屋根瓦や大きな枝が飛んでくると窓シャッターや雨戸では防ぎきれない場合もあります。

近年は外観デザインを重視するため窓シャッターや雨戸を設置したくない方も増えているため、採用を検討する場合は家の外観がどのように変わるのか施工会社にシミュレーションしてもらいましょう。

防災安全ガラスへ取り替える

周りが開けている住宅地など飛来物による被害が心配な方は、既存窓ガラスを防災安全合わせガラスへ交換する方法もおすすめです。

防災安全合わせガラスとは2枚のガラスの間に60ミル※以上の特殊中間膜を挟み込んだ複層ガラスで、特殊中間膜により耐貫通性・耐飛散性が備わっています。

※ミル(mil):長さや厚さを示す単位で、1ミル=1/1000インチ=0.0254ミリメートル

そのため、飛来物による破損だけではなく空き巣被害のリスクも最小限に抑えられるのです。

また、特殊中間膜は紫外線をほぼ100%カットする効果もあります。

ただし、値段が高価な点と厚みがあるため古いサッシには納まらない可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。

気密性の高いサッシへ取り替える

アルミサッシの寿命は20〜30年程度で、それ以上経っている窓は建て付けが悪かったり隙間が空いていたりする可能性があります。

これでは台風の時に水漏れや窓の破損が心配ですよね。

引き違いサッシで窓通しが風によって振動してぶつかり合い破損するケースも少なくありません。

そのため、築20年を超える住宅で窓の台風対策を検討している方は、窓ごとの交換も選択肢に入れてみてください。

「古いアルミサッシ+単板ガラス」の窓から「樹脂サッシ+ペアガラス(防災合わせガラス)」へ取り替えると、窓の断熱性が一気に高まり結露防止や光熱費削減につながります。

防災安全合わせガラスに断熱性の高いLow-Eガラスを組み込んだ防災安全合わせガラスエコガラスもありますので、大きな窓など特に台風の時の被害が心配な場所におすすめです。

窓の断熱性アップは、台風で停電して冷暖房が使えなくなった時に快適な室内環境を保つためにも効果的です。

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【FAQ】窓の台風対策に関するよくある質問

【FAQ】窓の台風対策に関するよくある質問


最後に窓の台風対策を検討されている方からよくいただく質問を紹介します。

Q.「マンションや賃貸物件でも窓ガラスやサッシは変えられる?」

マンションの窓サッシやガラスは共用部に該当するため、基本的には区分所有者個人の希望で取り替えや修繕はできません。

ただし、2024年に改正された国土交通省作成の「マンション標準管理規約(単棟型)」では、以下のような条文へ変更されました。

(窓ガラス等の改良)

第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。

2 管理組合は、前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする。

(引用:国土交通省|マンション標準管理規約(単棟型)


つまり、窓ガラスや窓サッシの交換が防犯や防音、断熱性向上などの理由であれば管理組合もしくは区分所有者の費用負担でリフォームできるということです。

そのため、台風対策と合わせて断熱性アップなどを検討している方は、まず管理組合へ相談してみましょう。

賃貸住宅にお住まいの方は、DIYできる対策方法であっても、テープ跡がガラスに残る可能性があるため、事前に大家さんや不動産会社へ相談してください。

Q.「台風で窓が破損した時の修理代は保険でカバーできる?」

台風で窓ガラスが割れた場合は火災保険で修理費用をカバーできるかもしれません。

保障対象に「風災(台風・暴風・竜巻・旋風)による破損」が含まれているか確認してください。

ただし、修理費用が保険会社の定める免責金額以下の場合は100%自己負担になり、それ以外の場合でも施工前に保険会社へ被害報告しなかったり現況写真がなかったりすると保険金が出ない場合もありますので、事前に申請方法について十分チェックしておきましょう。

Q.「窓の台風対策で使える補助金は?」

ガラス及び窓サッシの台風対策だけでは使える補助金はありません。

ただし、ガラスや窓サッシの断熱性がアップすれば、補助の対象となる可能性があります。


特に「先進的窓リノベ事業2024」は、断熱ガラスへの交換や外窓交換をすると一戸あたり「最高200万円」の補助金を受け取れます。

※受付締切を2024年12月31日までとしていますが、申請額が予算額に達した時点で受付終了となります。

そのほか、各自治体で独自の助成制度を実施しているところもあるので、詳しくは役所などへお問い合わせください。

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