窓ガラスの“熱割れ”が多発|夏に知っておきたい原因と対策、保険についても
猛暑になると多くご相談いただくのが「窓ガラスの熱割れ修理」です。
窓ガラスに何もぶつかっていないのに、いつの間にか大きなヒビが入ってしまいます。
これでは窓ガラスでの怪我や修理費用が心配ですよね。
そこで「窓ガラスの熱割れ」について、原因とリスクが高い窓ガラスの種類、応急処置・修理方法・予防策を紹介します。
併せて多くの方からよくご質問いただく保険についてもお話ししますので、熱割れが心配な方や窓辺の暑さを解消したい方はぜひ最後までご覧ください。
●窓ガラスの熱割れはガラス表面の温度差によって生じます。
●窓ガラスの熱割れを根本的に解決したい方や予防したい方には、窓ガラスや外窓の交換がおすすめです。
●“窓一番”は、1966年創業以来、埼玉県随一の「外窓・内窓・玄関ドア工事」の事例数を誇り、同グループ内には住宅リフォーム専門部署もありますので、総合的にあなたのお悩みを解決できます。
目次
“熱割れ”とは|原因とリスクの高いガラス種類
ガラスの熱割れは、直射日光が当たる部分とそうでない部分で温度差が開くと発生する現象です。
ガラスは熱い部分と冷たい部分で膨張率が異なり、その違いが強度の限界を超えるとヒビが入ってしまうのです。
窓ガラスの中央部は日射などを遮るものがないため、すぐに高温になりますが、周り四方はサッシ枠に隠れていて中央部ほど温度は上がりません。
このように一枚のガラスで部位によって温度差が生じると、窓サッシによって固定されている部分が中央部の膨張に耐えきれなくなって、ガラスの端からヒビが入ってしまいます。
特に、網入りガラスのワイヤーは金属製で、ガラスよりも熱による膨張率が大きいため、それにガラスが追従できず割れやすくなります。
網入りガラスでなくても、熱い部分とそうでない部分の温度差が60℃程度に達すると熱割れを起こす可能性があるため注意しなくてはいけません。※単板・5mm厚ガラスの場合
では、具体的に窓ガラスに熱割れが生じる主な原因を紹介します。
ガラスの経年劣化
ガラスは半永久的に形状を維持できる素材とされていますが、頻繁に人の手に触れたり物がぶつかる環境下では経年劣化する可能性があります。
例えば、ガラスの表面に細かなキズが無数についていたり、網入りガラスの端部からワイヤーが錆びていたりすると、熱割れが発生しやすくなるため注意しましょう。
特に、網入りガラスのワイヤーが結露水や湿気を帯びたホコリなどによって錆びると、膨張してガラス端部へ細かなヒビが生じてしまいます。
この現象をサビ割れと呼び、熱割れを助長する原因になりかねません。
直射日光やエアコン室外機の熱風による影響
特に日当たりの良い窓やエアコンの室外機から出る熱風を直接受ける窓は、室内との温度差が大きくなり熱割れするリスクが高まります。
窓ガラスの室内側が冷房の風を直接受けて冷える場合も要注意です。
ガラスフィルムによる影響
最近、窓辺の暑さ対策としてガラスへ断熱・遮熱フィルムを貼るケースは珍しくありません。
また、飛散防止フィルムや結露防止フィルムを窓ガラスへ貼っているお宅もあるでしょう。
確かに手軽に低コストで窓ガラスへ性能をプラスできるので人気のリフォームですが、フィルムによってガラスが蓄えた熱が放出されずに、より熱割れするリスクが高まります。
そのため、熱割れに弱い網入りガラスや蓄熱しやすい複層ガラスへフィルムは貼れません。
また、サッシメーカーによってはどのガラスであってもフィルムを貼ることを推奨していない会社もあります。(参考:LIXIL|Q&A窓ガラスにフィルムシートを貼っても良いですか?)
遮光カーテン・遮光ブラインドの影響
遮光カーテン・遮光ブラインドを付けると、窓ガラスの間に熱がこもって網入りガラスのワイヤーがより膨張しやすくなります。
そのため、稀ではありますが熱割れが起こるリスクがあります。
外窓に熱線吸収・熱線反射ガラスを入れている
熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは、暑さの原因となる太陽光に含まれる電磁波を吸収して熱の透過率を抑えたガラスです。
これらは室内の暑さ対策に有効ですが、熱を多く吸収するためガラスの温度が上がりやすく熱割れを引き起こしかねません。
外窓・内窓の両方に遮熱ガラスを入れている
断熱性が高く新築住宅へ多く採用されているLow-E複層ガラスも熱割れに注意が必要です。
Low-E複層ガラスは、熱線を反射するための特殊な金属膜がガラスへコーティングされたガラスです。
外窓だけに採用すれば室内外の温度差をガラス間の中空層で緩和できるため、熱割れに強いとされています。
しかし、Low-E複層ガラスを外窓と内窓両方に設置すると、2つの窓の間に蓄熱されてより熱割れのリスクを高める可能性があります。
既に外窓へLow-E複層ガラスが設置されていてさらに暑さ・寒さを軽減したい場合は、ガラスをトリプルガラスやアルゴンガス入りLow-E複層ガラス※などへ交換するのがおすすめです。
※2枚のガラス間の中空層に空気よりも熱伝導率が約30%ほど低いアルゴンガスを封入したLow-E複層ガラス
熱割れと衝撃によって割れたガラスの見分け方
熱割れが起きた窓ガラスと衝撃によって割れた窓ガラスの見分け方は、「ヒビの広がり方」がポイントになります。
上の写真を見ると分かる通り、熱割れによるヒビはガラスの端部から1本中央に向かって伸び、場合によってはそこから2〜3本に枝分かれしています。
一方、衝撃によるヒビは中央から外に向かって放射線状に広がるのが通常です。
ガラスの端が衝撃によって割れた場合も、他方に向かってヒビが伸びるため、熱割れのヒビとは特徴が全く異なります。
そのため、窓ガラスにヒビを見つけたら、まずそれが熱割れによるものなのか衝撃によるものなのかをチェックしましょう。
窓ガラスが“熱割れ”した時の応急処置・予防策・修理方法
熱割れは主に古いお宅に起こる現象です。
見つけたら慌てず、まずは応急処置をして修理方法を検討しましょう。
また熱割れが起きていない場合は、事前に予防へ対策をとっておくのがおすすめです。
応急処置
熱割れによるヒビがあっても、すぐに窓ガラス全体が割れたり飛散したりすることはありません。
しかし、応急処置しないと徐々にヒビが伸びる可能性があるため注意しましょう。
応急処置はヒビの上からガムテープを貼る方法がおすすめです。
ヒビの部分だけではなく、ある程度周囲までテープを貼りましょう。
それ以上のことは危険なので決してご自身でやらないようにしてください。
予防策
まだ熱割れしていなくても経年劣化したガラスや網入りガラスなどが入っている窓には、予防策をとっておきましょう。
- ガラスの室内側に冷暖房の風を直接当てない
- 日当たりの良い窓には屋外にすだれをつけたりして日射を遮る
- ガラスフィルムが貼ってある場合は撤去する
- 結露で既にサビ割れしている網入りガラスは取り替えて結露対策を取る
- 熱割れに強いガラスへ取り替える
- 熱割れに強いガラスの入った外窓に取り替える
有効な予防策は、熱割れに強いガラスへ取り替える方法です。
熱割れに強いガラスとは、室内外の温度差を小さく抑える高断熱ガラスで、代表的なものはLow-E複層ガラスです。
ただし、窓ガラスの一部分だけに日射や熱風が当たる場合は、高断熱ガラスでも熱割れを起こす可能性があるので注意しましょう。
修理方法
熱割れした窓ガラスの修理方法は主に2つあります。
修理方法 | 特徴 |
---|---|
窓ガラスの交換 | 【メリット】 費用が安い 【デメリット】 ・ガラス交換前と環境条件が変わらなければ、また熱割れする可能性がある ・古いサッシでは熱割れに強いLow-E複層ガラスを入れられない可能性がある ・古い住宅では既にサッシ枠が寿命を迎えている可能性がある(一般的なアルミサッシの寿命は20〜30年程度) |
外窓サッシごとの交換 | 【メリット】 ・窓全体の断熱性が上がる(熱割れに強いLow-E複層ガラスに交換でき、サッシ枠も高断熱仕様になる) ・建て付け不良や開閉の重さ、防犯性など、その他の悩みも解決できる 【デメリット】 窓ガラス単体の交換より費用が高い |
それぞれメリットが異なりますので、ご予算や家の築年数に合わせて適切な方法を選びましょう。
条件によっては補助金の対象にもなります。
「ガラスだけ交換した方が工期は短いのでは」と思う方もいるかもしれませんが、既存サッシ枠を残してその上から新規サッシ枠を被せるカバー工法でしたら、外窓サッシごと取り替えても1ヶ所あたり数時間で工事は完了します。
〈おすすめコラム〉
【窓交換リフォーム】方法と効果や費用目安、補助金についても
【窓の取り替えリフォーム】“カバー工法”とは?方法や費用相場まで解説
【Q&A】窓ガラスの“熱割れ”に関するよくある質問
では最後に、窓ガラスの熱割れに関して多くのお客様からいただく質問を紹介します。
Q.熱割れに気が付かないで放置したらどうなる?
小さな熱割れでも放置すると段々とヒビが伸びていずれガラスが割れてしまう可能性があります。
熱によってガラスが何度も膨張・収縮を繰り返すと、高い確率で熱割れのヒビは伸びていきます。
そこに外部からの風圧などが加わると、ガラスの弱い部分から一気に破損する可能性があるため、日当たりの良い窓など熱割れが心配な場所は、こまめにガラスの様子を点検しましょう。
熱割れを見つけたら速やかにプロへ相談するのがおすすめです。
Q.窓ガラスの“熱割れ”修理に火災保険は使える?
自然災害による破損がカバーされる火災保険であれば、修理代が補償されます。
熱割れによるガラス破損は故意ではなく自然災害に含まれ、突発的な事故として取り扱われるのが通常です。
そのため、自然災害による破損をカバーできる保険プランであれば、補償対象となる可能性が高いでしょう。
ただし、修理費用(損害額)が保険会社の定めている自己負担額※以下であれば、保険金は出ないので注意してください。
※自己負担額:損害額のうち保険契約者が最低でも負担しなくてはいけない金額を指し、事故負担額を高く設定すると保険料を安くできるのが一般的。
ちなみに賃貸物件の場合、ガラスの熱割れ修繕は貸主の負担となり、貸主が事業用に欠けている火災保険でカバーされる可能性が高いでしょう。
Q.ガラスの熱割れは冬にも起こる?
窓ガラスの熱割れは夏だけではなく冬にも起こります。
ガラスの熱割れは部分ごとの温度差によるものなので、冬に発生するケースは決して少なくありません。
気温が低い日には、ガラスの日が当たる部分だけ温まり、サッシ枠に隠れている部分は冷えたままになります。
冬の熱割れを防ぐ方法も夏の場合と同じで、断熱性の高いガラスへ交換する方法が有効です。
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